地域スギ材を利用した耐力壁

技術情報誌「住宅と木材」2010,12月号にささら板壁が以下のように取り上げられました。


HOWTEC技術情報

地域材を利用した耐力壁

(財)日本住宅・木材技術センター
試験研究所 次長 鴛海 四郎

この報告書では、試験研究所が最近取り扱った耐力壁の性能評価業務の中から申請者が了解し、かつ既に大臣認定が許可された内容について紹介する。どの耐力壁も地域のスギ板を利用している点については共通しているが、開発の主旨や狙いは申請者により微妙に異なっている。それぞれの地域に根ざした耐力壁を紹介する。

(中略)
3、富山県産スギ材を利用した耐力壁
この耐力壁は、婦負森林組合と富士環境システム㈱の共同申請であるが、富士環境システムの前田さんの研究心と開発努力によるところが大きい。前田さんは床暖工法を生業とされている方で、ラフトンボードというスギ板と段ボール(パルプ積層断熱材)で構成する断熱材の開発にあたり、相談を受けたのが出会いである。

ラフトンボードは順調に製品化され、落ち着いたところに自分のふるさとである富山県八尾のスギを構造材につかえないかという話をされたことがあった。その時、落とし込み板壁や板倉壁の話をしたように記憶している。そんなことをそんなことを忘れた頃に「こんなものを建具屋につくってもらったから」と持ってこられたのが、ささら板であった。

ホームページによれば,ささら板とは厚板を凹凸に加工した板で、この凹凸によってファスナーのように板同士がかみあわさるとある。特に苦心されたのはくさび状の凹凸の角度で、建具職人の知識を借りて縦:横=2:3(約56度)とされている。工夫はその他にもいろいろある。厚板のそりを防止するために、厚9,5mmの雇い実を上下の板に挿入する。また、壁板を軸組に密着させるために、壁板頂部と上の横架材の間に硬木のシャチを打ち込む。板の浮き上がり防止に、板を柱にダボで斜め打ちにする等々である。

この耐力壁も、試験体を作製後約1ヶ月間放置し、ある程度収縮が生じた時点で試験を実施した。軸材の含水率は繊維飽和点に近いものがあり、柱の含水率は5~7%程度減少していた。その他に落とし込み板壁の外周部にヒノキの枠材をねじで固定したタイプ、ささら板は柱に突きつけで、板壁の両側の外周部に枠材を設け、その両側の枠材に板壁を固定したタイプがある

壁倍率はダボ打ち2.9倍、片側枠材3.5倍、両側枠材4.4倍とかなり高い数値である。一部の試験体では軸組の仕口部が破損したものもあるが、破壊形状はくさび状の凹凸部の凸部のせん断破壊である。初期剛性が非常に高いため、最大荷重の1/25ラジアン付近から急激な加重低下を生じている。
ささら板は凹凸部がかみ合わさりパネル状の抵抗要素となったため、高い耐力が得られたと推測できる。

住宅と木材 2010,12 Vol.33 No396




P-45 P-46

両側枠材タイプのせん断試験
10.5□の柱がS字に変形しているが、
ささら板はまだ破損していない。柱がこんなに曲がるとは思わなかった。

金物部破損で加重低下
最大荷重の1/25ラジアン、65キロニュートンでホールダウン金物取り付け部破損、急激な加重低下。


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※ 写真は富士環境システム㈱が撮影

※ せん断変形角曲線図の出典:大臣認定のための性能評価書(3試験体のうちの一つ)

※ 詳しくは「ささら板壁の耐震性能」のページをごらん下さい

 

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